ウイグルジェノサイドを持続する中国政府に中東の平和を語る資格はありません

  報道1によれば、パレスチナ自治区で対立関係にあるイスラム組織ハマスと自治政府主流派のファタハが、中国の仲介で北京で協議し、ガザ地区で続くイスラエルとの戦争の終結後、占領下のヨルダン川西岸とガザ地区に暫定的な「国民和解政府」を樹立することで同意したことが、中国の王毅外相とハマス当局者により7月23日に発表されました。これに対しイスラエル外相は、テロ組織であるハマスと、テロ路線に本来反対のはずのファタハが連携したことに対し強く批判しています。

  私たちウイグル難民支援基金は、中東におけるさまざまな民族間、宗教間の対立と戦争に深く憂慮しています。特に、現在ガザで行われている惨劇については、イスラエル側にも自制を求め、また、パレスチナ国家の樹立こそが中東の平和を実現すると考えています。しかし、今回の中国政府の中東和平への介入は、問題の解決にはならないばかりか、ウイグル人に対してジェノサイドを行い、国内でチベットや南モンゴルなど、すべての民族の自決権を認めない中国に、パレスチナ問題や中東の和平を語る資格などないことをはっきりと宣言します。

  中国政府は国内において、ウイグルの伝統信仰であるイスラムの信仰を認めず、ウイグル人に対するあらゆる人権を奪い続けています。パレスチナ難民の民族自決権や独立、中東の平和に中国が真摯な関心を持つのであれば、まず自国内での多民族へのジェノサイドを停止することが大前提であるべきです。現在の中国政府は、一帯一路政策や他国への覇権主義にみられるように、世界各地においても資源の収奪や経済的・人的侵略を行っており、日欧米、インド、東南アジア諸国などは連帯してそのことを抗議しています。このパレスチナ問題への介入は、中国政府がその批判から逃れ、中東に自らの勢力を伸ばすための戦略外交以外の何物でもありません。

  自国内で民族の自決権も信仰の自由も認めない中国政府の誘惑に応じ、パレスチナ諸団体や中東諸国が仮にウイグルなど各民族のジェノサイドを看過するのであれば、パレスチナは独立の大義も、またイスラエルを批判する資格も失うことになります。われわれはパレスチナ難民の救済と中東の平和を希求するからこそ、この地にジェノサイド国家が干渉することを否定します。そして、多くがイスラム教を伝統宗教とする中東諸国が、本来同じ信仰を持つウイグル人に対するジェノサイドを看過することは、諸国の道徳的権威を大きく損なうことを警告せざるを得ません。

  イスラエルの現在のガザにおける行為に問題があるとしても、それはハマスのテロリズムを肯定することにつながってはなりませんし、さらに言えばジェノサイド国家である中国のこの問題への干渉は、将来必ず中東諸国に禍根を残すことになります。私たちウイグル難民救援基金は、以上の理由から、中国の中東への干渉と偽善的な和平提案に断固抗議します。ジェノサイド国家に平和を語る資格などありません。

2024年7月26日

ウイグル難民支援基金 イリハム・マハムティ

  1. https://www.cbc.ca/news/world/hamas-fatah-gaza-israel-1.7272790 ↩︎
カテゴリー: 声明

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